30歳の時、お店を始めた。すぐに31歳になって、その歳のうちに母に代わって本格的に料理人になると腹を括り、17年料理とお店のことを生活の中心にして生きてきた。ごはんと場所を通じて、少しでも誰かを幸せにしたい、そんな風に自覚したのはいつだったろう。若い時は傲慢でいて良いし、ワタシが何かやれるともっと強く思っていた気がする。今は、できることはほんの少しだけど、そのことに意味があると思っている。何より、目の前で喜んでくれるお客様がいること、人を幸せにして自分も幸せな気持ちになるなんて最高だ。
そして料理を追求していくと、ついつい極めたくなる、すごい料理を作って見たくなる、プロフェッショナルとかドキュメンタリー番組とかを見てミシュランの星を取るような料理人を見て、自分もそういう料理を作りたくなる瞬間がある。けど。もちろん美味しいものを作りたいのだけど、食べてもらいたい人を思い浮かべると、食通とか美食家とかでなく、普通に美味しいものを食べたい普段着の人たちだな、ということに行き着く。自分と同じようなただの食いしん坊に、普段着のごちそうを届けたい。まあまあの頻度で通えるハードルの高くないお店で、でもちゃんと美味しいものを届けたい。無理かな?無理じゃないよね。
美味しいものは世界平和の第一歩だと思っている、そんな48歳です。